ジブリ作品の中でも人気の高い「天空の城ラピュタ」。
空に浮かぶ美しい島、ロボット兵、パズーとシータの大冒険など見どころ満載の作品ですよね。
しかし、
結局伝えたいことは何だったの?
宮崎監督の思いって何?
などの疑問が残るフワッとしている作品でもあります。
そこでこのページでは、以下について考察したいと思います。
- 天空の城ラピュタで伝えたいこと
- 宮崎監督の思い
ネット上の考察や参考文献などを参考にまとめておりますので公式の情報ではありませんが、
本作を楽しむヒントを見つけていただければ幸いです。
天空の城ラピュタで伝えたいことは?
「ナウシカ」や「もののけ姫」のメッセージ性の強さに比べると、ややわかりにくい「天空の城ラピュタ」。
そのモヤモヤを解消するために、本作で伝えたいことをまとめてみたいと思います。
①進化し続ける文明への警笛
超高度な技術を持ち天空に君臨し、世界を支配してきたラピュタ人。
繫栄を極めた一族でしたが、最後は地上に降り衰退してしまいました。
このラピュタの悲しい運命の描写は、公開当時急速に進化していた文明へ警笛なのだと思われます。
文明が発達することで起きる、
- 貧富の差
- 環境汚染
- 強力な武器による戦争
などの問題がありました。
2024年現在の日本でも物質的に暮らしが豊かになる一方で、
- ネット社会による誹謗中傷
- AI導入による雇用の減少
- 科学技術の発展による環境汚染
など様々な問題が起きていますよね。
飛行石は原子力の隠喩?
理解不能で巨大な力を持つ「飛行石」。
ラピュタの超高度文明を象徴するものです。
実はこれは、
「原子力」の隠喩ではないか
という説があります。
公式本によると、
とされています。
原子力発電は、エネルギーを安定して供給できるメリットがある一方で放射線のリスクなどのデメリットがあるもの。
飛行石も城を浮かすほどの凄い力がある反面、疫病の原因になるような恐ろしい力があったのかもしれません。
②自然との共生の大切さ
疫病のために、一旦地上に降りたとされる一族。
子孫であるシータが生きていることから、一族は疫病で全滅したわけではありません。
地上に降りた後、疫病は落ち着いたのでしょう。
それではどうして、その後ふたたび天空の城に戻らなかったの?
それはシータが話した「ゴンドアの谷の歌」に答えがあります。
土に根をおろして、風とともに生きよう
という、あの歌です。
シータは、
どんなにすごい武器があっても、
土から離れては生きられない
という話をしていましたね。
どんなに高度な技術があっても自然がなければ生きられないと悟ったから、もう地上から離れないと決めたのでしょう。
このラピュタ人の決断は、自然との共存の重要性を伝えたかったことが考えられます。
生活が豊かになる一方で生じる環境破壊問題。
このまま自然を壊し続けたら、どんなに便利な技術があっても豊かな生活は続かない。
早くそれに気づいてほしい、ラピュタのように崩壊する前に…ということかもしれませんね。
「風の谷のナウシカ」「となりのトトロ」「もののけ姫」でも、自然と共に生きることの重要性を描いてきた監督。
彼のブレない信念は、本作でも伝わってきましたね。
③人間の強欲さ
本作の悪役であるムスカ大佐。
ラピュタ人の生き残りである彼は、ラピュタの力を復活させて支配者になろうと必死。
少女シータを容赦なく痛めつける姿に、嫌悪感を覚えた方は多いでしょう。
そして、結局ラピュタの力により滅ぼされてしまうという醜い最期を迎えます。
彼の軍隊も哀れに命を落としてしまいましたね。
ムスカたちの姿を通して、人間の強欲さの醜さと、それによって最後は身を滅ぼすことを伝えたかったのでしょう。
反対に、純粋な気持ちを持つパズーとシータは最終的に彼らを倒すことができました。
欲にまみれた大人より、きれいな心を持つ子供のほうが世界を救える
というメッセージもあるのかもしれませんね。
宮崎監督の思いって何?
本作におけるメッセージとは、
①進化し続ける文明への警笛
②自然との向き合い方
③人間の強欲さ
このようなものが挙げられるでしょう。
それでは、結局宮崎監督の思いは何なの?
浮かれていると痛い目にあうよ
本作は公開された1986年の日本はバブル期に突入したばかり。
世界では冷戦や内戦が起きているにもかかわらず、日本は好景気で浮かれまくっていました。
進化し続けて調子に乗っている日本人。
昔のような自然との向き合い方も忘れ環境破壊を繰り返し、自分の欲を優先してばかり。
高層ビルや高層タワーにはしゃぐ人々は、「人間がゴミのようだ!」と笑うムスカのよう。
そんな日本に対する、
このまま浮かれていると、ラピュタのようになってしまうよ
というメッセージかもしれません。
戦争と戦後を経験している宮崎監督。
核被爆国であることを忘れ浮かれている日本に対し、
飛行石(原子力?)を描くことで、戦争の恐ろしさを思い出させようとしたのでしょう。
君たちはどう生きるのか
監督が本作を通して伝えたかったことは、
- 文明社会との向き合い方
- 自然との向き合い方
を、考えるべきだということ。
2023年公開の「君たちはどう生きるか」のタイトルにあるように、
彼の作品は観客一人一人に生き方を考えさせる力があると思います。
本作は素晴らしい映像と冒険活劇に目が行きがちですが、非常に考えさせられる良作でもあります。
公開から何十年経っても新鮮な気持ちで観れるのは、そのたびに様々な問題と向き合える作品だからでしょう。
まとめ
今回は天空の城ラピュタで伝えたいこと、宮崎監督の思いについて考察してきました。
【天空の城ラピュタで伝えたいこと】
①進化し続ける文明への警笛
②自然との向き合い方
③人間の強欲さ
【宮崎監督の思い】
➡浮かれていると痛い目にあうよ
➡君たちはどう生きるか
このようなことが考えられます。
本作が色あせない理由は、時代を越えて人々の心に刺さるメッセージ性があるからかもしれませんね。
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